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万華鏡こばなし

京都では昨日からぐっと気温が上がり、湿度も高くて…すっかり夏モードです。

ちょっと外に出ただけで汗だく。

こういう季節こそ、さらっと着られる涼やかな着物が恋しくなりますね。

 

さて今回は、Instagramでも多くの反響をいただいた**「万華鏡シリーズ」**について、ブログではもっと深くご紹介してみようと思います。

 

▶︎「万華鏡シリーズ」ってどんな着物?

「万華鏡シリーズ」は、安治郎の中でも代表作といえるシリーズです。

もともとは「もっと色無地を自由に、オシャレに楽しんでほしい」という思いから生まれました。

従来の色無地とはひと味違う、織りで表現された文様の奥行きと、光の加減で表情が変わる不思議な美しさが特徴です。

たとえば、見る角度によって七宝の文様ように見えたり、十字架のように見えたり。

時にはキラッと光る面が現れることもあり、まるで万華鏡を覗いているかのような感覚が味わえます。

着るご本人はもちろん、周囲の方もつい目を奪われる、そんな魅力を秘めた一反です。

 

▶︎多彩なカラー展開も人気の理由

今回のブログの記事を書くにあたり直近4年のデータを見直しました。

このシリーズは、直近4年の間になんと約70色ものカラーを染めてきました!

色無地というと控えめな印象があるかもしれませんが、万華鏡シリーズは色のバリエーションが豊かで、選ぶ楽しみも魅力のひとつです。

 

特に人気が高かったのがこちらのカラー

•水色:清楚で上品。どんな帯とも相性が良く、爽やかな印象に。

•濃紫:深みのある高貴な色。大人の女性らしい気品を引き立てます。

•グレー:都会的で洗練された雰囲気。粋な印象にも。

•藤色:可憐さと落ち着きの両方を感じさせる、絶妙な中間色。

 

今回、万華鏡シリーズの直近4年の資料を改めて見直してみたのですが、特定の色に極端な偏りはなく、どの色もまんべんなく染められていたというのが意外な発見でした。

リピートが多い人気色もありますが、毎回少しずつ違う色を選ばれるお客様が多いようで、やはり“色を楽しむ”シリーズなんだなと実感しました。

 

万華鏡シリーズの色は、その時々のテーマや季節感、そして“万華鏡らしさ”を大切にしながら決めています。

普段、色を選ぶ際は過去に染めた生地見本や膨大な資料の中からイメージに合う色を探し出し、そこから職人さんと何度も擦り合わせをして、ようやくひとつの色が生まれます。

織の立体感や光の反射まで計算しながら、「この柄にはこの色が一番映えるはず」と、丁寧に色を選び抜いています。

だからこそ、仕上がった一反には言葉にできない奥行きと存在感が宿るのです。

 

▶︎「悩んだら色無地」

色無地は、帯や小物の合わせ方、紋の数でフォーマルにもカジュアルにも対応できる万能な着物。

訪問着のように格式を求められすぎず、それでいてちゃんと場にふさわしい。

だからこそ、「何を着ようか迷ったら色無地」というのは、着物好きさんの間では有名な言葉だったりします。

そして万華鏡シリーズなら、ただの色無地では終わりません。

織で表現された文様と、こだわり抜いた色彩で、見るたび着るたびに新しい発見があります。

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